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二月二十七、二十八日

永田町にある自由民主党本部にて十亀雅史会長と共に時局対策連絡会議に出席しました。この会議は主題を「憲法改正を考える」と銘打ち、平成二十八年七月に行われた参議院選挙の結果、改憲勢力が衆参を併せて憲法改正の国会発議に必要な三分の二の議席数を確保したことから、日本らしい国づくりに向けて憲法改正が行われるよう国民に対し啓発活動を展開していく為に開催されました。

開会式では神政連の打田会長や来賓として自民党副総裁の高村衆議院議員、神政連国会議員懇談会事務局次長の城内衆議院議員の挨拶がありました。

その後、日本政策研究センター代表の伊藤哲夫先生より主題と同じテーマで基調講演が行われ、様々な資料を基に憲法の歴史、改正の必要性、改正点、今後の論じ方、進め方等の持論を展開されました。先生の資料では改憲するところを大きく三点挙げており、

㊀九条二項について

㊁緊急事態対処の規定

㊂家族尊重・家族保護の規定

としていました。特に時間を割いて一番に取り上げたのが㊂についてです。
我が国の昨年の出生数が約九十八万人と統計を始めた明治三十二年以来初めて百万を割りました(百万人ショック)。団塊世代(一九四七~四十九年生まれ)は年間約二百六十万人、団塊ジュニア世代(七一~七四年生まれ)は年間二百万人を超えていたことを考えると、この四十年間で我が国の出生数は半減したわけです。
この急減ぶりは非常事態とも言える状態で、産経新聞は勿論のことリベラル系の毎日新聞も社説でこの危機を訴えたほどです。
総人口に関しても現在は約一億二千七百万人ですが、おおよそ三十年後には一億人を割り、百年後には四千四百万人と現在の三分の一程度になる予測が算出されています。
消滅可能性都市という言葉が一時期はやりましたが、このままでは日本が消滅可能性国家に含まれると言っても過言では無いでしょう。これでは賦課方式を採用している公的年金は当然機能しなくなり、破綻します。

 

これらの少子化や人口減少の原因になっているのが行き過ぎた個人主義です。
個人の権利は当然必要ですが、生命を継承することの意義を確認しなくて良いのでしょうか。憲法にその旨を記載した家族尊重・保護の規定が必要だという考えです。

私もこの意見に賛成で、子孫を繁栄させるという事は生物にとって当然のことで、この世に存在する全ての生命体が本能的にその為に生きている気さえしますが、理性のある人間の一部は、その能力があるにも限らず生命継承よりも自己の利益を求めるものがいます。行き過ぎた個人主義と言うと大袈裟ですが、私の周りでも能力があるにもかかわらず、子供は一人か二人で満足のいく生活をしたい、と発言する人は多くいます。
憲法に家族尊重・保護の規定を盛り込むことにより、生命継承の意義、家族の大切さを主張すべきです。
先生が㊀㊁を飛ばして㊂から説明を始めたのも危機意識が強かったからでしょう。
尚、質疑では、この件に関し個人と家族の権利がぶつかった際に海外ではどのような事例があるのかとの鋭い意見も出ていました。

講演後は班に分かれて「憲法改正を広く国民に訴えるためにはどうすればよいか」と題し国会議員も含めて議論を行う予定でしたが、残念ながら前の週がプレミアムフライデーだった為、衆議院の予算委員会が月曜日のこの日にずれ込み、議員が参加出来ず、参議院の山谷えり子さんだけが順番に班を回る形になりました。

その後懇親会が行われ、翌日に全体会として班ごとに座長が意見を発表しました。
私が所属した班は座長の計らいにより私が班の意見を発表し、その後に座長が補足説明をする形をとりました。

 

全体の意見としては各地で署名運動、講演会、勉強会、DVD上映会等を行い、改憲の啓発活動を行って、ある程度動員数は増えてきているものの、国民の気運が高まっているというまでには至らず、特に一般の方から憲法について自発的な意見が聞かれることはない。というのは共通の悩みでした。話をしようにも「憲法の事は分からない。」「実生活に特に不自由がないのに変える必要があるのか。」と思っている方も多いと思います。制定から約七十年経過しているのは大きな壁になっています。

改憲については先に挙げた点以外に日本の国柄を前文について、天皇条項についての意見も多く上がっておりましたが、特に注意しないといけないのは国会議員数の三分の二以上で発議されるということです。つまり公明党も含めた与党全体や野党の改憲派が納得できるような意見を用意しないと発議すらされません。
また、発議後、国民投票の過半数を得て承認されるので、先の参議院選挙の投票者数を参考に各支部で何票必要なのか数字を出すべき、との意見もありました。
最後の質疑には地方議員のやる気の無さを挙げ、議員に気概がないと叱咤する場面や議員から神政連の草案を作るべき、との意見もありました。

そもそも法学者でもない一般の方は憲法の知識は特に得る機会もなく、神主も同じ状態で、啓発する為には深い知識の習得が必要です。話を聞くだけではなく、今回のように事前レポートの提出や、議論の場を作り、我が国や他国の憲法とその歴史についてある程度各自が学ぶ機会を作る必要があるように感じました。

出席者の中には改憲について研究され、今回の意見発表の為に独自資料を準備していたり、自民党草案とは違った持論を展開するのは勿論のこと、その表現の仕方、興味の惹き方も追及に言及する等、次の段階に達している方もおり、非常に良い刺激を受けることが出来ました。

出来るならば新憲法を制定したいのですが、あまりにも制定規定が厳しい為、先ずは一部改憲をして突破口を見出したいというのも共通認識だと思います。

敬神生活の綱領前文の文末に「実践に努めて以て大道を宣揚することを期する」とある通り行動に移せるかどうかで未来は変わります。全力で地道な活動を続け、憲法改正を起こせるよう取り組んでいきましょう!

 

余談ですが、解散後、個人的に国会議事堂を参議院側から会長と見学し、充実した一日を過ごすことが出来ました。

神社新報にも記事が掲載されていました。

(愛媛県神道青年会 副会長 柳原永祥)